
心のゆとりは、最高の技術

河北前田病院は、111床の医療療養病床として、急性期治療を終えた患者さんの長期療養を支える地域の医療機関です。当院のリハビリテーション科では、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が連携し、患者さま一人ひとりに寄り添ったリハビリテーションを提供しています。
療養型病院ならではのリハビリテーションの魅力とは何か、そしてどのような想いで患者さまと向き合っているのか。リハビリテーション科長の中山陽貴さんにお話を伺いました。
私は「心のゆとりは、最高の技術」という言葉を大切にしています。もちろん、医学の知識やリハビリテーションの技術を常に向上させることは不可欠です。しかし、私たちの対象は機械ではなくヒトです。自分の心にゆとりがなければ、患者さまには伝わらないと思っています。
以前、担当していた患者さまがリハビリ中に「また家族に"ただいま"って言いたいんだ…」とおっしゃったことがあります。
その一言に込められた想いの重さを、私は忘れたことがありません。病気や障害は、身体機能だけでなく、心からも力を奪っていきます。だからこそ、患者さまが心からの笑顔を取り戻せるよう、日々心にゆとりを持って接することを意識しています。

長期の療養生活は、患者さまご本人だけでなく、ご家族にとっても大きな不安や心配を伴います。リハビリテーション科では、その不安を少しでも軽くし、患者さまが「自分らしく生活できる力」を守り続けることを使命としています。
私たちは、患者さま一人ひとりの生活背景やこれまでの人生を大切にし、「できること」・「したいこと」に寄り添った目標設定を行っています。ご家族とのコミュニケーションも重視し、状態の変化やリハビリ方針を分かりやすくお伝えし、安心につながる情報提供を心がけています。
リハビリは、決して派手な治療ではありません。しかし、小さな変化を見逃さず、昨日より今日、今日より明日が少しでも楽になるように支えていくことが、療養型リハビリの最大の価値であると考えています。その積み重ねが、患者さまの笑顔やご家族の安心へと繋がると信じています。
急性期に比べて比較的落ち着いた環境で、患者さまのペースに合わせてじっくりとリハ治療に集中できる点も魅力です。長期間入院される患者さまが多いので、日々の関わりの中で小さな変化に気づき、よりその方に合った個別化したリハビリテーションを提供できます。

退院後のサポートも充実しています。訪問リハビリや外来リハビリでの訓練継続により、地域で安心して生活ができるよう支援しています。また、福祉用具の選定・提案、住環境の整備・相談も行っており、患者さまが住み慣れた地域で自分らしく生活を続けられるよう、切れ目のないサポートを提供しています。
これからも私たちは、患者さまに寄り添い、その人らしい生活が続けられるよう、誠実で温かいリハビリテーションを提供し続けます。患者さまの尊厳を守りながら、まごころとおもいやりのあるリハビリテーションを実践したいという方と、ぜひ一緒に働きたいと思っています。療養型病院でのリハビリに興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。
急性期病院での経験を経て、河北前田病院で療養型リハビリテーションの専門性を高め、現在は科長として部門を統括。多様な資格を活かし、患者さまの生活全体を見据えたリハビリテーションを提供している。
| 〜2013年3月 | 医療法人社団七仁会 田園調布中央病院 勤務(整形外科を中心とする急性期病院) 医療法人社団三成会 河北前田病院 勤務 |
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| 2013年4月 | 主任 |
| 2018年4月 | 科長(現職) |